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学生時代、許嫁みたいな存在の子がいた
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21 :ダメ男◆n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)22:06:31 ID:CFHDqKUf7
部屋に帰ると、ロープを持って、深夜の公園の木の袂に立った

それを木の枝にひっかけて輪っかを作り、持って来た椅子を踏み台にして首を括った

足元には友人だった男、彼女だった男、上司への恨みを書き綴った遺書を置いた

後は椅子を蹴り倒せば楽になるはずだった

でも、最後の最後で椅子を蹴れなかった

何度も勇気を出しても、どうしても椅子を蹴れなかった

椅子に乗ったまま何度も足を動かしていたら、椅子が倒れた

その瞬間、ロープが一気に首を締めた


けど、ロープをかけた木の枝が細すぎたみたいで、あっさりと折れてしまい、俺は地面に倒れた

咽ながら、俺の頭に浮かんだことは、死への恐怖だった

死のうと思ったのに死にたくないと頭の中で叫んでいた

なんだか無性にそれが悲しくて、悔しくて、情けなくて、誰もいない公園で泣いた

泣きまくった


フラフラとしながら家に帰り、ロープと破った遺書を捨てた

それから数日、俺はバイトをサボって家で呆然としていた

そんな時、ふと頭の中に地元の風景が浮かんだ

俺は残りわずかだった金をポケットに突っこんで、無精ひげを伸ばしたまま電車に乗って地元を目指した


24 :名無しさん :2014/04/14(月)22:19:19 ID:VZYrgTp75
>>21
彼女だった男…?


26 :メ男n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)22:20:00 ID:CFHDqKUf7
>>24
スだ
彼女だった女だよ





22 :名無しさん :2014/04/14(月)22:10:19 ID:csJ89hhqW
おぅ…


23 :ダメ男◆n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)22:14:55 ID:CFHDqKUf7
地元の田舎の風景は全く変わってなかった

田んぼばかりの土地

ポツポツ建つ家


当時25歳になっていた俺からすれば、7年ぶりの地元の風景だった

ただ、来た理由はなかった


実家に帰れば、たぶん両親から叩き出されると思った

かと言って知り合いの家に行っても、どうせすぐに両親に連絡されることは目に見えていた

そんな俺の頭に浮かんだのは、A子だった

A子なら、もしかしたら俺を待っててくれてるかもしれない

いや、きっと待ってる

A子と結婚すれば、こんな糞みたいな生活から解放されると思った


とても自分勝手な考えだった

本当に最低最悪の考えだった

自分から放置したA子を、今さら利用しようとした

好きだから会いたいとかじゃなくて、ただ自分の身が可愛くてA子を利用しようとした

でも、当時の俺はそれに罪悪感なんて感じもせずに、A子の家を目指した

幸い俺の風貌は ぼさぼさの頭に無精ひげ、げっそりとした顔と かなり変わっていたから、よく見ないと俺だとは分からなかった

誰にも気づかれることなく、A子の家に辿り着いた


25 :ダメ男◆n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)22:19:23 ID:CFHDqKUf7
A子の家の門を叩いた

もちろん、そんなことをすればA子の家族と鉢合わせる可能性もあったけど、そんなことを考える余裕なんてのは俺にはなかった

ただA子に会えば何とかしてくれる

そんなバカみたいな考えしかなかった

でも、家には誰もいなかった

どうしてもA子と会う必要があったから、近くで農作業をしていた老婆にA子の所在を聞いてみた

最初は怪しがる目をしていた老婆だったけど、俺はA子の友人で急用だからと無理に聞き出した

すると老婆はようやく言った

『A子さんなら、嫁いでいってその家にはいないよ』

俺は、絶句して立ち尽くした


27 :ダメ男◆n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)22:29:27 ID:CFHDqKUf7
に適当にお礼を言ラフラしながら近くにあった社の境にある大き目の石った

そして、老婆のたこを頭の中で再生していた

そのかんのが、うことかA子へった

何で俺をってかったのか

何で勝手嫁いだ

思ってい


低だろ?

未だに自分最低たって自覚して

でもばらく考える、それは全部分のせったと理した

何もかもを捨て都会に移り結局 都会でも全部を無して地元に戻ってきてる自分がとてバカえた

いない神社で声を出て笑てしまっ

も、笑いが残ったのは喪失感と望感だっ

俺に残されたのはぬか家に帰るだけ

俺は恥を忍で実家にことを

縁を切られてもばらくの生活費を援してもうと思


28 :ダメ男◆n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)22:36:41 ID:CFHDqKUf7
実家に行き、門の前に立った

飛び出した時は とても小さく見えた実家だったけど、その時はとても大きく見えた

でも、中々門を叩く勇気が出なかった

両親になんて言おうか

両親をどうやって説得しようか

そんな不安を抱えていた


家を飛び出してから、俺は一度も両親に連絡を取ってなかったし、両親からも連絡があることはなかった

たぶん、勘当されてたんだと思う

それでも、ここで引き返すことは出来なかった

もうどうしようもなかった


勇気を振り絞った俺は、震えながら家に呼び鈴を鳴らした

心のどこかで、誰もいないことを願った

でも、呼び鈴と共に家の中からは足音が聞こえてきた

足音からすれば、たぶん母親であることが予想できた

そして、玄関がゆっくりと開いた

でもそこにいたのは母親じゃなかった

向こうも俺が誰だか最初は分かってなかった

そしてすぐに、俺は気付いた

それは、A子だった

A子もまた俺に気付いたようだった


凄く驚いた顔をしたが、すぐに表情を柔らかいものにした

そして微笑みながら、ゆっくりとした口調で言った

『おかえりなさい』

その声と言葉は、A子そのものだった


29 :名無しさん :2014/04/14(月)22:38:04 ID:VZYrgTp75
どういうことだ




36 :ダメ男◆n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)22:57:13 ID:CFHDqKUf7
嫁いだと聞いていたのに、俺の家にいた

俺は一人っ子だったから、俺の他に嫁ぐ相手なんているはずなかった

俺は動揺して、

A子に『なんでここにいるのか、嫁いだんじゃなかったのか』と聞いた

そしたら、A子は優しい口調で言った

『私は、俺さん以外に嫁ぐつもりはありません。ここに住まわせてもらって、俺さんの帰りを待っていました』

それを聞いて、何でそんなに待ってたのか聞いた

そしたら、『母を亡くした時に、俺さんは私の傍にいてくれました。だから、私も俺さんの傍にいたいとずっと思ってました』って言われた

俺、そっから涙が止まらなくなった

凄く自分が情けなく思えたし、心の底からA子を拒絶したことを後悔した

だから、全部A子に言った


自分がどれだけヒドイことをしたのか

自分がどれだけ卑怯な考えで帰って来たのか

A子は、ただ俺の話を聞いていた

それは、小さい頃からのA子そのものだった

全部言い終わった俺に、A子は言った


『でも、俺さんは帰って来てくれました。私はそれが嬉しいんです。義父さんや義母さん達と話しましょう。私も一緒にいますから』

俺、さらに泣いた

泣きまくった

その間に、A子はずっと俺の手を握ってくれてた

そして農作業に出かけていた家族を二人で待った


37 :名無しさん :2014/04/14(月)23:02:08 ID:wcVFzsep5
みてるぞ


39 :名無しさん :2014/04/14(月)23:19:06 ID:csJ89hhqW
うむ‥

夢でなければいいな…


40 :ダメ男◆n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)23:20:15 ID:CFHDqKUf7
しばらくしたら、家族が帰って来た


俺を見た瞬間、家族はすごく驚いていたけど、すぐに俺は土下座して謝った

当然だけど、俺は凄まじく怒られた

特に父の怒り方は尋常ではなく、すぐに追い出されそうになった

でも、それでも俺は土下座して謝り続けた

A子も俺と一緒に謝ってた

一晩中謝り続けると、何とか家に戻ることを許してくれた

そこで俺は、A子と結婚したいことを言った

自分勝手だけど、ここまで俺のことを想ってくれていたA子を本当に幸せにしたいって言った

そしたら、今度はA子は泣き始めた

でも、結婚となると、当然A子家族の許可を取る必要があった

だから俺は一度A子を家に帰した


A子は一緒にいたいと言ってくれたけど、俺はどうしても昔自分がしたことの清算したかった。

清算しないといけないと思ってた

それが清算になるかは分からなかったけど、とにかくA子家族とは俺一人で話して、何とか結婚の許可を貰うことを告げた

そしたら、A子は『俺さんがそういうなら、もう何も言いません』って言って、荷物をまとめて実家に戻って行った

家を出る時に、A子は深々と俺の実家に一礼をした


42 :ダメ男◆n8dlh1jn0FWE :2014/04/14(月)23:36:08 ID:CFHDqKUf7
次の日から、俺は昼間は農作業を手伝い、夕方はA子実家に行くようになった

これも当然だけど、初日は門前払いされた

それでも毎日のように家に行った


A子の父親と兄は、俺が来るなり怒鳴りつけ、時には水をかけてきたりもした

でも その怒りは当然のものだったし、俺はずっとA子の家に行き続けた

その間、A子父はA子と俺が会うことを許さなかった

もっとも、俺としても許可を貰うまでは二人きりになるつもりはなかった

本当はA子と話したかった

実家を出てからの7年間、高校時代を含めれば10年もの間、A子と話せなかったことを色々話したかった

一緒にいたかった

でも、そのための筋は通さないといけないって思ってた

それからも俺はA子の家に行き続けた

門前払いの毎日だったけど、半月くらい経った頃に、家には上げてくれるようになった

でも、結婚の許可はくれなかった

それでも俺は頭を下げ続けた

それからさらに約2か月後、ようやくA子家族は結婚を了承してくれた

でもそれには条件があった

これから1年間、A子と交際することは認める

だけど、一切手を出してはいけない

もし手を出したり妙なことをしたら、即刻結婚の話はなかったことにして、A子には別の縁談を用意して結婚してもらう

それについて、俺とA子はお礼を言って条件を全面的に受け入れた




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