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私の「初めて」の話をしようと思う
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48 :も無き被774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 15:44:28.96 ID:d7vBTGF30.net
その日はじめてタムラはコーラをおご

自販機で350ml缶を二買って、病棟の廊チに座て飲ん

「タムラっコーなんて飲んじゃダメそうな体してるね」

はずっと思っていたとを言った

「飲んで飲まくても どのみちダメだ関係ねー


「?」

「イチローが毎カレ食う一緒


「そ

「そうだよ朝カレーって合ヒト打てん


「タムラ場合は それがコなわけだ」


「そういこと

も飲のもりよくない


そう

タムラ息をついた

「俺タチになる前死ぬからさ」


49 :名無き被検体774号+@(^o^)/退2015/06/20(土) 15:54:20.35 ID:d7vBTGF30.net
ムラの病気う治のないもの

生まれ間もなくそがわって、タムラの親はタムラ病院放り

手切金でかのように金を払

れ以来 ほとん病院顔をせに来たこともらしい


まれ欠陥心臓、ガラの好きの親、世界のどこにもつなるパソコに恵まれて、は病院で12年すくすくと育、のそうだ


50 :き被検774号+@(^o^)/:2015/06/20(土) 15:59:43.47 ID:d7vBTGF30.net
以来 私たちはきどき暇見てつるむようになっ

オセをやり、コラを飲み、話すこした

医者師もいい顔はしな

回診のたびに ずい冷たたものだ


でいるはオセロの定石を勉強し、iPodで楽を聴い

タム相手だと いくら勉強しても しすにはならない

タムラのほうは片手間でやってのかもれない


の入院生活は そんなふに回っていった


51 :名も無き被検774号+@\(^o^)/2015/06/20(土) 16:08:26.17 ID:d7vBTGF30.net
術からリが始ま

の頃にムラのほうからあるとこくるになっいた

ムラは何が面のか私のリビリの様子眺めていた

るようにお前は

、順調にいけばね」

「俺はいから歩くの諦めだよね」


タムラいてもいなのに そんなを言うのはい気


「俺ね死ぬまで一回、チェっぺん獲ろうと思ってる」


てっ

「世とかなんとか

本気?」

ムラは無言でうな





79 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:01:07.40 ID:d7vBTGF30.net
現実問題として世界一なんてとれるのか

世界一、なんて響きがあまりに慣れないものだから私は面食らった

でもタムラは その当時すでにオンラインでは世界上位10%に入ってた

伸びしろを考えれば不可能とは言い切れないだろ、とタムラは冷静だった


80 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:05:04.16 ID:d7vBTGF30.net
それでも ちらつくのはタムラの寿命のことだ

自分でもよく分かってたと思うけどタムラの命はもって10年弱だ

だからこそ やつは真剣だったし負ければ焦りもした

そう、やつは負けるのが本当に大嫌いだった


本当にときどき、50回に1回くらい私がオセロで勝つと、タムラは小一時間口もきかなくなる

「利かないんじゃなくて利けなくなるんだよ」って言ってた

負けたのがムカついてたまらないうえ、負けた試合の反省で頭がいっぱいになっちゃうんだって


81 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:06:06.61 ID:d7vBTGF30.net
(しかも私に負けたっつっても あくまでめたくそにハンデつけたうえでの話なのだ)


82 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:09:10.16 ID:d7vBTGF30.net
で、私に負けるだけならまだいい


やっぱりタムラと互角とか、それ以上の相手になってくると、タムラも負けが込んでくることがあって そんなときタムラは個室にこもって出てこない

個室にカギがないのが かわいそうだなって、そういうときはちょっと思う

病院だから仕方ないんだけどね

一回だけ連敗期に入ったときのやつの様子を見たことがあった


83 :も無き被検774号+@(^o^)/:2015/06/20(土) 22:15:25.55 ID:d7vBTGF30.net
やつはベッるまって親指をくらい噛みながらガタえてた

れでぶつ小声で何ってた

聞き取れないらいの小声


私はが込づかないした

ますとか無駄だろうなってたみたいを見てたらわかっ


ませないのが悲しいと思わなった

れ勝ち星ってくるか元気になる方法はいわけだし、のためには早ち直るしいってタムラは一番よくてた

何もしてやれないのがつなんわずに「さっさとち直って さっさとまちまくれよ」って、心のなかで言っとけばいいてのは私にってもった


84 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:23:41.27 ID:d7vBTGF30.net
リハビリが始まってから3週間くらいだったか

私は3歩くらいだったけど歩けた

歩けてしまった

タムラに言ったら
「歩けるんだったら車椅子でも押して楽させてくれよ」なんてぬかした

褒めるってことをてんで知らないのだ、やつは


でも車椅子押してあげられたらなとは内心ずっと思ってた

タムラのほっそい腕がステアリングを回すのを見てると、なんで私松葉杖なんかついてるんだろバカみたいって毎回思うのだ

だから

「いいよ」って言って松葉杖ほうりだしたら、タムラのほうが珍しく焦りだして

そのまま歩き出したけど三歩も歩けずに私はころんだ

「バカたれ」とタムラは言ったが声が優しくて私はうるせえ、と言った


86 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:28:55.41 ID:d7vBTGF30.net
それから順調に私の足は回復してしまいました

松葉杖をつきながらだったけど私はひとまず退院した

退院の朝、タムラも玄関まで ちゃんと見送りに来てくれた

「くたばんないでね」

タムラは眩しそうな顔してうなずいた


それから私はタムラを一回抱きしめた

座ったままだからお腹のあたりにタムラの頭がきて

やつは私の腰のあたりにしがみつくようにしてしばらくじっとしてた


そうやって私の入院生活は終わった

長かったけれど これが三年前の話だ


88 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:32:54.31 ID:d7vBTGF30.net
そしてタムラ家までやってき


かに得いかないで

お前ちの親してんの、かれては答えたこたん

「うちは々カンオケ職人なだ」って





90 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/2015/06/20(土) 22:36:24.79 ID:x0GpOKXP0.net
お、面白くてき


91 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:37:08.66 ID:d7vBTGF30.net
タムラは母さんと工房の奥の応接室で話してた

見積もりやら何やらの相談でしょう

一人で取り残された私は、もう勉強なんて手につかなくって

窓から見えるヒマワリを ぼさっと見てました

季節は夏の初め

話の内容は聞き取れないくせに声だけが聞こえてきてなんか寂しかった


92 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:41:02.82 ID:d7vBTGF30.net
小一時間くらい経ってようやく、タムラと母さんの話が終わった

私は立ち上がってやつと向かい合う

「カンオケなんて、あんた」

タムラは穏やかに笑った

昔よりもやわらかい笑い方をするようになったな、と私は思う

反面、鼻筋とか頬の線とかは くっきりしてちょっとかっこよくなったな、とも思う


93 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:44:04.86 ID:d7vBTGF30.net
「余命、あと……」

「半年」

「みじかっ」

私は思わず噴き出した

いやもう、逆に笑うしかないってこともあるのだ

タムラも「だよなあ」って笑ってたし

「帰りは送ってってあげなさいな」と母さんが言った

私とタムラは二人で外に出る


94 :名も無き774号+@(^o^)/2015/06/20(土) 22:48:58.47 ID:d7vBTGF30.net
になる前に こうしてってきたは偉いよ、と思いながら私は椅子

ほんとに夏の初めの初めのに十分に外は暑か

よく病院らうちまもの


足首折なくてよかったいながら、私は車椅子をして歩いてい

電車を使ほうのだけど、私車に乗らず、線路並行する県道を歩いていくことにした


96 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 22:54:40.33 ID:d7vBTGF30.net
「タムラー」

「あ?」

「まだやってんの? チェスも麻雀も」


「……やってるよ、オセロも」

「……勝ててる?」

「……ぼちぼち」

「ふうん」

私は横断歩道で道を渡って日陰をえらんで歩いていく

「……さっきも訊いたけどさ、なんでカンオケなんて作ろうって思ったの」


「えー」

タムラは少し考えこむ


97 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:00:48.94 ID:d7vBTGF30.net
「……人生の、ケジメ、っつうの?」

「ケジメ」

私はタムラの言葉を繰り返す

「まあ、死ぬまで短い間だったけど生きてましたって、自分で納得するため、っつうか」

「ふうむ」

「せめて最後は人間らしく、ってな」


人間らしくったってなあ

フツーの人はもっと死ぬ前は、うまいもんでも食べたいとか墓でも作るかとか、そんなこと考えそうだけど

それにカンオケってちゃんとしたものを作ろうと思ったらそれなりに高くつくのだ




>>次のページへ続く



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