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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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29 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/03(木) 21:34:32.03 ID:822EfHvJ.net
きになる


30 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 03:36:36.08 ID:1+Q4FLW+.net
俺は勝ち誇っていた。

だって、ここにいるやつらは、まだ生きてるやつらばっかりだ。

だけど、俺は先に行く。

自殺という、簡単にはできない偉業を成し遂げるんだ。

そんな気持ちだった。



31 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 03:47:17.11 ID:1+Q4FLW+.net
「いまから、首つりします。お先に!」

ラリッたような台詞からも、どんなに俺がはしゃいでたかわかるだろう。

「明日、中学生自殺のニュースが流れたら、それが俺!」

わくわくは最高潮だった。

興奮で震える手で、探しておいたヒモを結んだ。

梁なんかはなかったけど、木造だったから、壁の一箇所をぶち抜いて その穴からヒモを通して固く縛った。

その穴は、いまも実家の俺の部屋に残ってる。



33 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 03:56:05.87 ID:1+Q4FLW+.net
もちろん、ヒモの先には輪っかもつくって、椅子に立った状態でギリ首にかかるようにした。

この椅子がコロ付きなもんだから、その上に立っての作業はぐらついて大変だったが首を入れた後はそのほうが楽だろうと思った。

だって、ドラマとかじゃ うまく椅子を蹴ってぶら下がるけど、あれ、現実じゃなかなかうまくいかないんじゃないかと思ってさ。

蹴れないとかっこわるいし、思い切り蹴ったとしてもでかい音が響くだろ。

そしたら親が起き出してくるかもしれないし、そうなったら もう最悪だ。



35 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 04:04:07.11 ID:1+Q4FLW+.net
さあ、準備は整った。


俺は引き出しの中から遺書を出して、きれいにした机の上に置いた。

恨みを込めて書いた遺書だ。これだけは読んでもらわないと、死ぬ意味がない。


少し考えて、ベッドも何となく整えた。

机とベッド以外はいつものように ぐちゃっとした部屋を見回して、掃除しとけば良かったかななんて思った。

でも、首吊ったらその下はウンコだらけになることも知ってたから、掃除してないから どうってこともないか、と思い直した。




34 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 03:58:59.95 ID:i0JLgPq+.net
なおX JAPANのなんとかと漫画家のなんとかは無事ドアノブで死亡できた模様


36 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 04:16:39.31 ID:1+Q4FLW+.net
>>34
そうそう、ドアノブも聞くよな。

けど、あれってホントにできるのかって不安にならないか?

何て言うか、理論上はいけるんだろうけど、もっと確実性が欲しい、みたいな。


俺は深呼吸すると、部屋の真ん中でバンザイしながらピースした。目を閉じて、いえーい! って声には出さずに叫んだ。いま考えると、まじテンションおかしい。

それから、つけっぱなしだったパソコンを閉じようとした。

画面には、俺の書いた例の馬鹿みたいな台詞が二行、表示されていた。

レスは何にもついてなかった。



38 :名無き被774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 04:22:36.27 ID:1+Q4FLW+.net
はその一を待た。


らわかるくらラリっはい姿は寂しだろう。

きりで死んくのが怖かったんろう。

それがその一瞬にんだ

ど、そのとき俺にはっと怖いものがあった

それはこの興奮状態が消えてしまことだ。死ねなくてしまことだ。

コンなんけっしだて構わない

早くななきゃ。の感覚が消えてしわないう

そうして、画面を切ったとき



39 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 04:26:29.30 ID:1+Q4FLW+.net
ぽーん

聞き慣れない音がした。

何も考えずに、俺は画面を振り返った。

そこには三行目の文字列が出現していた。

「何で死ぬの?」

それはシンプルな質問だった。



40 :も無き被検774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 04:32:00.30 ID:1+Q4FLW+.net
それを目た瞬間、心衡がぐわっと崩れ

が一気に消え、別の衝動が胸襲った。

なぜ死ぬの、なぜ俺は死ぬのかいてくれ人がいる。

知っ欲しい、知ってく、俺ぜこんなにまで追い詰められているのか知ってく

ていつでもできる、いまはだこ人にって欲しい

俺の指ボーに伸びてた。

この顔も名前知らない誰、悪魔だというとも知らずに。



42 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 04:34:57.37 ID:1+Q4FLW+.net
「いじめ」

どんだけ急いてたのか、俺はそれだけ書いてエンターキーを押しちまった。

「いじめにあったから」

慌てて書き直して、もう一度エンターキーを叩いた。

口から心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらいどきどきしてた。



43 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 04:43:49.42 ID:1+Q4FLW+.net
「へえ」

文字にしなくてもいいような言葉を、その人は表示させた。

俺は反射的にびくっとした。

これがいじめられっ子の性と言われれば そうかもしれないが、俺は相手が退屈そうだったり不満げだったりすると すぐにへりくだってしまう。

「いじめられて、不登校になって」

俺は頼まれてもない事情を打ち込んだ。とはいっても、こんなチャットじみたことなどしたことがないため入力速度は無茶苦茶遅い。

その上、文章をまとめるのもへたくそだ。

書いては消してを繰り返しているうちに、相手の文が表示された。



44 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 04:49:41.74 ID:1+Q4FLW+.net
〈COKT93245さんが個人メッセージを求めています〉

それは誰でも見られるオープンチャットじゃなくて、プライベートなチャットへの誘いらしかった。

俺はおっかなびっくり、リンクになってるそのメッセージを押した。

〈KBES20341さんが入室しました〉

そんなメッセージが画面に現れた。

このKBなんとかってやつが自分を表してるってことに、俺は今さら気づいた。



45 :名もき被検体774号+@(^o^)/2016/03/04(金) 05:04:47.37 ID:1+Q4FLW+.net
殺したいの。教えて

プライベートチャッ入ると、そんなジが示されてた。

ッセージの前コンいて、れはアンドロイドぽい女の子の画像った。

本当はアンドロイドじゃないかもしれないけど、何て言うか無表情ャラ的な、綾波レイて言えいかな。そん感じの

相手それを意識してるのかのかは知らないし、や相や年齢なんてわかったが、ンのせいで、台詞は揚の姿ない例のじでの中で再生された。




46 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 05:13:50.27 ID:1+Q4FLW+.net
「打つのが、遅いですけど……」

小心者の性で俺はそう断った。

「時間はあるから」

相手は気にしてないふうだった。

そして、口調はやっぱり綾波レイっぽかった。

……というか、当時は綾波を知らなかったから、いま思い返してみると、なんだが。

(ちなみに、その後名乗られた名前はあるが、仮の名前として、これからこのチャット相手をレイと呼ぼうと思う)



48 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 05:23:07.70 ID:1+Q4FLW+.net
壊れた壁と、そこから垂れ下がった首つりのヒモをそっちのけに、俺はレイを相手に、夢中になって語った。

いじめが どんなにひどいものだったか。

それを見て見ぬふりする教師がどんなにクソなやつか。

遠巻きにするクラスのやつらも同罪だ、なんてぶちかましたりもした。


レイはそこにいることを示すように、時々「へえ」とか「そう」とか言うだけだった。

けど、俺はそれで十分だった。

この数時間だけでタイピングが目に見えて早くなるほど、俺はしゃべり続けた。



50 :名も無き検体774号+@\(^o^)/2016/03/04(金) 05:31:08.44 ID:1+Q4FLW+.net
気づけタイグのしすぎでがだくなっ、眠にも襲われた。

ど、話すこととばかりなってきても俺はし続けた。

の話を聞いてくれるレイから離れちゃいけと思っ


「もういっぺん聞く

でも沈黙しがちになった頃だた。レイがそう言った。

「何殺するの?

こいつは人の話を聞かっか?むっした

ど、すぐにレイは葉を継いだ。

「どうして、いじられたあ死んで、いじめたあいつき続の?」



52 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 05:38:05.38 ID:1+Q4FLW+.net
「え?」

「死は罰よ。そうでしょ、死刑は法律で一番重い刑罰なんだから」

「何だってそうでしょ。死ぬべきは悪いほうだって決まってる。なのに、どうしてあなたが死ぬの?あなたは悪いの?」

「いや、俺は悪くはないけど……」

「悪くないなら、どうして死ななくちゃならないの?」

「ほかに死ぬべき悪い人がいるっていうのに」



51 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 05:37:28.47 ID:iZ1vhbeg.net
めちゃくちゃ読みやすいね

臨場感たっぷり

身辺整理中なので体験談は、とても助かります

ありがとう


53 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 05:49:01.10 ID:1+Q4FLW+.net
>>51
身辺整理はとりあえず思いとどまって下さい。そんな思いで書いてます。



他に死ぬべき悪って誰だ、こいつは何を言ってるんだ。疑問が頭を駆け巡ったが、答えは分かり切っていた。

「ねえ、これはゲームみたいなものだと思わない?あなたの命は一つ、相手の命も一つ。そのどちらかが失われなきゃならないなら、どっちが残るべきだと思う?」

感情の読み取れない、無機質な文字が俺の前に並んだ。

やっぱりだ。レイは、俺にあいつらを殺せと そそのかしている……?



54 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 06:00:16.45 ID:1+Q4FLW+.net
「そんなこと、わからないよ」

「俺はただ自殺するって決めて……」

「それに、そんなの犯罪だろ」

俺は話を戻そうとした。このままチャットを閉じるなんてことは、自殺を決行するよりも難しく感じられた。

レイはただそこにいて、俺の話を聞いてくれればいい。自殺したい俺の話を。

「犯罪?」

けど、レイは たじろぐことなく言った。

「私は犯罪の話なんか、してない」



55 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/04(金) 06:13:54.11 ID:1+Q4FLW+.net
ログに証拠を残さないための発言だろうか。回らない頭でそう思ったが、どうやらそれは違ったようだった。

それどころか、レイの思考は ぶっ飛んでいた。

「犯罪というのは、法律に触れる行為のこと」

「けど、法律というものは国が大人数を統制するためのものであって、個人の〈正しさ〉とは乖離がある」

「それなら、あなたの自殺は正しい? それとも彼らの死が正しい?」

正しさ。

それは俺の思考にはなかった言葉だった。




>>次のページへ続く



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