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15年片思いした話
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68 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:08:44.84 ID:VTdCu/6C0

「こんにちは、能年の後輩で俺っていいます。お怪我は大丈夫ですか?」

イケメン
「あぁ…、玲奈の。
心配させて悪いね死ななくて良かったよ。
玲奈も無事みたいで」

イケメン
「それより俺君バイク好き?」


「えっーと、正直あんまりないですね笑
ごめんなさい」

イケメン
「そっかwまた新しいバイク買おうかなー
もうあれ、乗れないしね」





69 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:09:48.46 ID:VTdCu/6C0
ここでいやに、能年ではなくバイクについて語り出す
イケメンにイライラし始めていたが冷静を装った。

ここで思い出したのだが、内の親父もバイクが好きで昔よく母ちゃん
を後ろに乗せてた。
バイク乗ってる人からしたら常識なのかもしれないが
普通は夏でも長袖長ズボンで乗るらしいな。

親父も母ちゃん乗せる時は夏でも長袖長ズボンを着せてたわ。





70 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:10:52.55 ID:VTdCu/6C0

「その時って、能年どんな格好してました…?」

イケメン
「えっーと、半袖ショートパンツだったよ」


「能年の怪我みました?
ひどい擦り傷で女の子にあれは可哀想ですよ。
事前に注意しなかったんですか?」

イケメン
「距離も近くだったからね…、でもあれは対向車も中央線超えてたし…」





71 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:11:56.41 ID:VTdCu/6C0
俺はもう我慢の限界だった。
目の前が真っ赤に染まるっていうのは
こういう事を言うんだと思う。
初めて本気で人を殺してやろうかと考えた。

病人を殴るなんて屑なんだろうけど、気がついたら殴ってたよ。
通りかかった看護師と医者に羽交い締めにされて、出禁になった。
警察沙汰にならなかったのは運が良かったとしか言えない。





72 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:13:03.02 ID:VTdCu/6C0
その後すぐ友人から聞いたのだが、
イケメンの祖父が金持ちらしく
慰謝料を払う代わりに別れてくれと言ったらしい。

能年両親は激怒し、慰謝料は入らないからもう、
二度と姿を現せないで欲しいと伝えた。

そうしてイケメンはすぐに病院を移転していった。
まぁ、お金は後日送られてきたらしいが。





73 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:13:40.99 ID:7hYUcuuq0
対向車も中央線超えてた??




74 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:15:43.24 ID:VTdCu/6C0
>>73
その辺はイケメンの口からしか聞いてないから
わからん。でも、20㎞オーバーしてたらしい

この間に、友人にアドレスを教えてもらって能年にメールを
送ってみたが返ってくることはなかった。

何度も会いに行こうとしたが、
俺のせいで婚約を破談させたようなもんだ。
彼女の両親にも会わせる顔がなかった。





75 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:16:37.88 ID:3mifo98v0
なんか色々せつないな
見てるぞ頑張れ




76 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:16:56.24 ID:VTdCu/6C0
それから1ヶ月が経った。
彼女は幸い足は骨折していなかった。
なのにやたら入院が長引くなと不思議に思っていたのもあり
バレ無いようにビクビクしながら能年に会いにいった。





77 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:18:56.15 ID:VTdCu/6C0
病院に着くと彼女はロビーにいた。

少し痩せただろうか。
能登は車椅子に座っていた。





78 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:20:01.26 ID:VTdCu/6C0

「やぁ、久しぶり…でもないか」

能年
「あっ…俺か。」


「顔出せなくて悪いな」

能年
「ううん、来てくれて嬉しいよ」


「俺のせいで別れさせるような形になって…本当にごめん」

能年
「いや、俺のせいじゃないよ。
あっちの両親は私の診断聞いてから
そのつもりだったらしいし…」


「診断って…?どこか悪いの?」





79 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:20:20.66 ID:vX/L6Tyc0
oh・・・・・・・・




81 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:21:13.47 ID:VTdCu/6C0
能年
「私覚えてないけど背中強く打ったらしいのね。
それで脊髄損傷が原因で下半身麻痺なんだって。
多少の感覚はあるけど歩けるようになるか、分からないの」


能年は泣いていた。
俺はかける言葉が出なかった。





82 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:22:19.18 ID:VTdCu/6C0
やっとのことで、俺が絞り出した言葉は彼女が両親や友人、
医者何度もみんなに言われたであろう子供染みたものだった。




「でも、まだわからないんだろ?
リハビリ頑張ろうぜ!」

能年
「みんなも言ってたよ。最初はね。一緒に頑張ろうって。
でも、もうほとんど誰も来てくれなくなったよ。
来るのは両親だけ。」


「そんな…」

能年
「みんな口だけなんだよ、
本当は思ってもないことをベラベラと。
この歳になって両親に着替えさしてもらうんだから
惨めだよ…本当に…」

能年
「ほら、俺もこんなとこ来てないで彼女のところにいってあげなよ」





83 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:23:30.12 ID:VTdCu/6C0
彼女はそう言うと無理に笑顔を作った。
俺の大好きな彼女の笑顔はそこにはなかった。
違う、違うんだ。
俺は能年が。お前が。


どうしてここまで来て言えないんだろう。
俺の糞野郎



「そう…だな。ごめん帰るわ。
もし、困ったことがあったら俺にメールしてくれ」

能年
「うん、またね…」





84 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:24:37.73 ID:lKqzwt7XP
合体はまだか・・・




87 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:25:53.65 ID:VTdCu/6C0
>>84
パンツはいてろ

友人に一応メールを送ったが、
「お前の問題だろ、自分で選択しろ」
と冷たい返信だったが、彼の言うとおりだった。







85 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:24:43.00 ID:VTdCu/6C0
もし、俺がへたれじゃなかったら
直ぐにでも彼女を支えて上げることができただろう。
でも、障害のある人と付き合うのは相応の覚悟がいると言うことが
頭の中をぐるぐる回ってた。





88 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:27:04.75 ID:VTdCu/6C0
両親には当然反対された。

ご近所で顔見知りであるとはいえ、お前は一生世話をする事になるか
もしれないと。

両親の言うこともわかる、でもそれ以上に彼女が好きだった。





89 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:28:18.13 ID:VTdCu/6C0
それから二カ月の間、ほとんど毎日病院に通った。
でも、彼女は会ってはくれなかった。

彼女の両親曰く、ほとんどの面会を断ち、
ベットで過ごしていることの方が多いようだった。

無理すれば、会うことも出来たが彼女が会ってくれるまで待つことにした。
リハビリはあまり順調とは言えなかった。





90 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:29:24.55 ID:VTdCu/6C0
肌寒くなりだし、彼女の両親に能年にと
タオルケットと靴下をプレゼントした。

彼女は着けていてくれているだろうか、そんな風に考えていたころ
能年から一通のメールがきた。
「病院にきて」これだけだった。
俺はすぐに病院に向かった。





92 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:31:47.69 ID:VTdCu/6C0
もう覚悟は決めていた。

病院に行くと彼女は珍しく車いすに乗って中庭にいた。
俺があげた靴下とタオルケットを身に着けて。





93 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:33:33.34 ID:VTdCu/6C0

「やぁ、久しぶりでもないね」

能年
「そうだね」




「調子はどう?」

能年
「ぼちぼちかな」



「………」

能年
「あぁー、また俺に身長離されちゃったかなーエヘヘ…」


「そうだね…」

能年
「ねぇ、毎日来てたの?」


「そうだよ、会いに来てた」

能年
「暇だねー君も、彼女とは別れたの?」


「彼女なんて最初からいないよだよ。
ずっと好きな人がいたんだ。
その人の話、聞いてくれる?」





96 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:34:37.17 ID:VTdCu/6C0
突然泣きながら聞いた俺の質問に能年は
びっくりしていたけど、笑顔で言いよと答えた。
その時の顔は俺が15年間大好きだった彼女の笑顔だった。





98 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:35:43.78 ID:VTdCu/6C0
お互い身長が小さくて馬鹿にしあったこと。
給食袋振り回して彼女の顔面にぶち当てて泣かせたこと。
課外学習の田植えで泥ぶっ掛けてやったこと。
プールでかなづちの彼女をバカにしたこと。
彼女からバレンタインチョコ貰えないで次の日拗ねてたこと。

中学の時地元の盆踊りで浴衣を着てた彼女に可愛いのに似合ってないっ
て言って殴れたこと。
貧乳バカにしてたら気にしてたのか割とマジで怒られたこと。
高校大学はたまに会えるんじゃないかと思って通学時間気にしてたこと。





99 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:36:49.07 ID:VTdCu/6C0
その場で、思い出したことだけど鼻水と涎垂らしながら
30分かけて言ってやったよ。


その間彼女はうん、うんって聞いてくれてた
最後の方はお互い鼻水ダラダラだったけど。





100 :名も無き被検体774号+:2013/06/10(月) 22:38:12.90 ID:VTdCu/6C0
あの頃より少し大人びた彼女は泣きながら俺に
「本当に俺は私がすきだね」って言ってくれた。


俺も泣きながら
「好きだよ」って答えた。







>>次のページへ続く

 

 

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